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デスク [ fem roda]





材 料:ウォールナット メープル
サイズ:W=930 D=600 H=710

デスクです。

お客様が今まで使われていたデスクには引き出しが無く収納スペースに困っていた為、書類などの収納が出来る 「引き出し付きのデスク」の依頼を受け製作しました。

いくつかのデザインをご提案させて頂いたのですが、その中で「両袖タイプ」(デスクの両側から引き出しが下方向にいくつかあるもの) が希望との事でしたので両袖タイプでのデザインで進める事になりました。







最終のデザインスケッチ。

デスクを置く場所に制限があり、幅は930ミリ以上は無理。どの引き出しにもA4サイズのファイルが入るようにとの希望もあった為、 脚を天板の下から伸ばすと脚の幅の分だけスペースが狭まりファイルが収まらない事が分かり、脚を引き出し箱の下から伸ばすデザインにしました。





天板部の加工。

天板の淵に「白いライン」を施す為、ウォールナットの周りに3ミリのメープルを回し その後、再びウォールナットを接ぎ合わせラインを作ります。





脚の材料。

強度と見た目の美しさを保つため「四方柾目」(どの方向から見ても木目が真っすぐ見える)で木取りします。





脚の上部を十字に欠き取り 事前に組み合わせた幕板に嵌め込みます。前後方向の幕板は後ろ脚に繋がってます。

強度的には問題は無かったのですが、写真の後、さらに強度を上げる為 横方向の幕板を伸ばし 当初の予定には無かった後ろ足同士を結ぶ貫を追加しました。





神社・お寺のイメージ





天板と引き出し箱が完成して 折り返し地点、引き出しの製作に掛かります。





今回選んだ引き出しの構造は「NK式」。

「NK式」と「ハーフフレンチ」の引き出しは底板から作り始めます。
底板の寸法を調整し実際に仕込んでからそれに合わせて側板・先板・前板などの部材の寸法を決めます。





蟻組加工。

(左)引き出し先板のメス加工。(右)引き出し側板のオス加工。これを組み合わせて接合します。 
一つの引き出しに4ヶ所の蟻組。5杯の引き出しを作ると合計で20ヶ所の蟻組加工になります。
なので、一つ一つ加工するのでは無く 階段状に板を置いて同じ行程を順番に一気に行います。





引き出しの前板加工。

(左)指を入れる為の丸い穴をあけ ツマミが収まる溝を加工。(右)ツマミ部を全部メープル材にしてしまうと 穴に嵌め込んだ後の見た目が変になってしまうので(どこから見ても白の1本線に見せたかった)ウォールナットの表面に1ミリ厚にしたメープル材を貼り埋め込みます。





仕上がった「ツマミ」。

メープルの白い部分は厚みが薄いので 上から見下げても1本の線に見えます。


 


引き出しの部材加工が終わり 接着。

(左)機械の平らな所で歪みが無いか確認。(右)クランプで引き出しの枠と底板とを接着。





全ての加工が終わり塗装。

着色無しのワックス入りオイルで仕上げます。ウォールナットの濃い色とメープルの白が際立ってきました。





塗装が終わると 完成です。





5杯の引き出し。

厚みが取れなかった分、奥行き方向に広く製作したのでお客様の希望したA4ファイルが一つの引き出しに2列入れられます。





5杯の引き出しは 全て蟻組。 安心して長く使っていただけると思います。





打ち合わせからデザイン・製図・製作と 自分が想像していたよりかなり時間を要してしまったデスクですが、製作を通して新たにたくさんの事を学ぶ事ができました。

お客様に長く添いとげてもらいたいです。