檜の森。
ご縁あってお世話になり始めた諸戸林業さんのご好意で丹沢の檜の森を見学させて頂きました。
新歌舞伎座の舞台にも使われた檜の森です。
三重県に本社を構える諸戸林業さん。約120年前の明治期に薩摩藩の島津家が所有していた山を購入し紀州産の苗木を馬に乗せて山を登り900ヘクタール以上もある土地に檜と杉をそれぞれの木に適した場所に植えたそうです。
森の中にある事務所。
かつては山で作業する方の宿舎も兼ねていたそうです。とても味わいのある素敵な古民家です。
事務所の中には製材された檜材が置いてあります。製材された後も息をしているんですね、心地良い檜の香りが立ちこめます。
事務所での説明の後、「今現在 伐採作業を行っている山」と「数年前に間伐を終えた山」の順番に入ります。
木目が詰まっていて均等に広がっている。
木の中央に向かう程、木の若い頃の証。若い頃は育ちも早いので木目の間隔は広いんですね。春から夏に掛けて育つ「春材(早材)」と秋から冬に掛けて育つ「秋材(晩材)」の繰り返しで年輪が構成されています。
写真では分かりにくいですが、数年前に伐採した切り株の上に「杉の赤ちゃん」が育ち始めていました。杉や檜の森は「下草(森の地面に生える植物)」が育ちにくいので 時には湿気のある切り株に次の命を受け継ぐ事があるそうです。木が育ったのを見届けた後、母体になった「切り株」はやがて朽ち果て子供の根っ子に小さな空洞を残すそうです。
三つ又。
間伐後、数年経った山には和紙の材料になる三つ又の木が自生していました。どの枝も3つに分かれている事から「三つ又」。確かに3つに分かれていました。
なぜ下草が育ちにくい場所にこれだけの三つ又が自生するのかは分からないそうですが 間伐後の光が射し込む森の中 どこまでも続く三つ又の群生の景色は本当に幻想的です。
山を守りながら決して乱獲をせず計画的に伐採を行っていました。普段は3人で山に入り(うち1人は女性でした)伐採から運搬まで行っているそうです。
地震や大雨で山が崩れ檜や杉が流れてしまう事もしばしば・・・。その場合は植え直す事は敢えてしないで 元々丹沢に自生していた雑木林に戻すそうです。実際、数年前に崩れた斜面は雑木林になっていました。手を加えなくても山が昔の記憶をもとに雑木林を作るとの事。
自然の力は不思議で偉大だな。
普段、製材・乾燥が終わってからの木を扱う事がほとんどなので、今回の経験はとても貴重なものになりました。